不動産管理会社とは

不動産管理会社とは、賃貸用不動産を所有する場合に不動産管理用の会社を設立し、不動産管理業務の委託又は不動産の所有権自体を会社に移すととに、会社の株主・役員にご本人又はその家族とすることで所得税・相続税の節税を図る方法です。また、会社を新設するだけでなく、既存の支配会社に管理業務等の委譲を行う方法もあります。

 不動産管理会社の運営形態には、

①管理委託方式

 不動産オーナーは不動産管理会社に賃貸の管理を委託する方法です。貸室等の賃貸借の契約者名義はオーナーであり、オーナーと不動産管理会社間において不動産管理委託契約が締結され、毎月管理業務の対価として月額管理報酬が支払われます。適正管理料として家賃収入の6%程度が目安になると考えられます。

②一括転貸方式

 オーナーが所有不動産を不動産管理会社に一括で賃貸し、管理会社が第三者に転借する方法です。不動産管理会社は空室時の空家賃の支払などのリスクが高い分、適正管理料として委託管理方式よりも高い家賃収入の10%程度が目安になると考えられます。

③不動産所有方式

不動産管理会社自身が賃貸用不動産を取得・建築し、管理運営の業務を行っていく方式です。不動産収入は全て不動産管理会社に帰属し、株主配当や役員報酬等を通じてご本人やその家族に分配されます。

メリット

・不動産収入をご本人の家族などに合法的に分散することで、所得税・相続税の節税が可能になります。

・不動産所有方式の場合には、株式の移転により 実質的に不動産事態も移転することができ、不動産移転にかかる不動産登記手数料、登録免許税、不動産取得税等の税金がからず資産の移転が可能になります。

デメリット

・新たに会社を作る必要があるため、手続きが面倒になります。

・法人に対して赤字の場合でも最低限の税負担(地方税の均等割り)が生じます。

・法人税の申告等にかかる税理士事務所などへの費用が必要となります。

不動産管理会社のポイント

管理委託方式、一括転貸方式では賃料収入の10%程度までしか所得の分散効果がないため、不動産所有方式を適用するほうがよいが、不動産所有方式は不動産管理会社に不動産買い取りのための一定の資金が必要となるため、資金調達の可否を検討する必要があります。そして、すぐに不動産所有方式を適用できない場合は、管理委託方式・一括転借方式と不動産所有方式の併用などによって徐々に不動産所有方式に移行するのが望ましいと考えられます。

また、不動産管理会社の資本金を1億円以下にすることで、課税所得金額が800万円以下の部分が30%から22%(18%)に軽減されたり、特定同族会社の留保金課税の適用がないなど税務上のメリットを享受できるため、資本金は1億円以下にするのが望ましい。

 機関設計や役員給与等の決定は、ベストプラクティスがあるわけではないので、おかれた状況に対応した様々なシュミレーションが必要となります。専門家のアドバイスを受けるのが無難だと考えられます。

評価

相続争い対策 ★★
納税資金対策 ★★
節税対策 ★★★★