我が家に限って相続争いは無縁と思っていませんか?

 上記のように、年間の死亡者数に対する遺産分割で調停まで争うことになった件数の割合は1.1~1.2%で推移しています。また、この死亡者数には遺産のない子供や相続人が1人しかおらず相続争いが起きえない被相続人の死亡者数などを含んでいるため、遺産が少なからずあり相続人となる者が複数人になる場合の調停まで争うことになった割合はもっと大きいと考えられます。

 この数字はそのように感じますか?

調停の場にまでいかずとも、親族間の話し合いでもめるケースも大いにあるでしょう。

法廷の場にまで相続争いを持ち込んでいるということは、親族間で話し合いでの決着ができない状態であり、調停で審判が下されたとしても、その後の親族関係が円満にいくことは少ないと考えられます。

でも、我が家に限って相続争いは無縁と思っていませんか?

通常、人は自分が死んだからといって、子供や身内が相続で争うなどと考える人は多くありません。我が家に限ってそんなことはないとか、相続争いなんてテレビドラマの中のことだとか、現実としても他人の家の出来事だというくらいにしか思っていませんか?もしそうなら、その考え方を改めなければなりません。家族を信じる気持ちは大切ですし、そんなことが起こらないに越したことはありませんが、実際に不幸な事態が起こってしまってからでは手遅れなのです。

生前は仲の良かった子供の兄弟関係が相続手続きを機に相続争いに陥る場合のよくある要因は・・・

・兄弟各々の収入等の経済環境の違いから遺産相続に関する考えの相違

・子供の配偶者などの口出し

・日常生活において兄弟での被相続人への関与の度合いや介護の度合い

・相続開始を機に生前の不満爆発 など様々です。

そしてこのような相続争いを防止するのに最も有効な方法は遺言です。遺言は被相続人の考えを相続人に伝えるとともに法的な拘束力から遺産の分割を強制できるからです。とは言え、子供が親に対して、生きているうちに遺言を残しておいてくれなどとは言いにくいものです。だからこそ、親のほうで自らその重要性を認識し、きちんと対処しておくことが必要となるのです。